近年、夏の猛暑日が増加し、室内で熱中症になる方が増えています。建築物の材料であるコンクリートは蓄熱するため、夜になっても室内の気温はあまり下がらないのです。室内では適切にエアコンを使用するなど対策することが重要です。

 建築物に対する対策はどうすれば良いでしょう? 対策した場合の効果はどうなるのでしょうか?

 屋上緑化を施した場合や反射率の高いペンキを塗布した場合に、屋上表面温度や冷暖房に伴う二酸化炭素量がどの程度になるのかを簡単に計算する緑化計算プログラムを作成しました。

 建築物の熱収支は、大気や地面からの熱放射の一部が外壁に吸収され、吸収された熱の一部は伝熱によって外壁の内部へ、一部は対流によって大気へ、残りは放射によって大気や地面に向かって流れます。

 緑化計算プログラムでは、この熱収支が屋上のみと仮定し、室内温度を快適温度に保った場合の一年間について計算します。日本全国146地点における標準年の環境データを用います。

 

以下に緑化を施していない場合の計算例を紹介します。比較のため緑化を施している場合のグラフの例を含みます。

1.屋上緑化計算を起動すると、以下の画面が立ち上がります。

start

2.「解析期間の設定」を選択し、解析期間や時間刻みを設定します。

time

3.「環境の設定」を選択し、環境について設定します。

environment

4.「屋上の設定」を選択し、屋上の材料を設定します。

property

5.「境界条件の設定」を選択し、「全ての場合」を設定します。屋上緑化がある場合は、更に「蒸散作用のある場合」を設定します。

boundary condition

6.メニューバーの「ファイル」で保存し、「解析処理」をクリックすると計算が行われます。計算が終了してメニューバーの「結果処理」をクリックすると以下の画面になります。

result

7.「年間フラックス量」をクリックすると年間フラックス量や年間二酸化炭素量が表示されます。

result year

8.「月間フラックス量」をクリックすると月間フラックス量や月間二酸化炭素量が表示されます。

result month

9.「屋上表面温度」を選択すると、屋上表面の一日のうちの最高・最低温度、外気温の最高・最低温度が表示されます。

rooftop temperature

日付をクリックするとその日の屋上表面温度と外気温の時刻歴グラフが表示されます。上記の入力条件(緑化無し)での7月24日のグラフを下左図に表示します。同条件で屋上緑化を施した場合についても計算し、グラフを下右図に表示します。

緑化無し 同条件で緑化有
temp nogreen temp green

「グラフ表示」の「フラックス時刻歴図」を選択すると、エクセルが起動し屋上表面から流出入するフラックスの時刻歴図を表示します。

flux

11.「グラフ表示」の「壁内温度分布図」を選択すると、屋上壁内部の温度の時刻歴図が表示されます。ここでは7月29日の時刻歴図を表示しています。

wall temperature